日本の製造業の競争力の源泉は、粘り強い現場の改善活動にあると考えています。デジタルの力を使って、日本の製造業の強みをどのようにアップデートするか。人が、作業ではなく「考え」「決め」「動く」ことに集中し、より広く、深く、速く改善に取り組むことのできる環境をどのように構築するか。シグマでは、自社で内製で開発したシステムを通して、このテーマに取り組んでいます。自社開発の強みDXシステム "SWIPE" (SiGMA-wide Information Platform for Everyone)は、コードを書くところからすべて内製で開発を行っています。2017年にDXの取組を始めた当初、社内で開発する技術力はありませんでしたが、現在では自社で短期に多くのシステムを開発できるような技術力が身に付き、DXを加速させています。自社開発の強みは、スピード感と使う人たちに寄り添ったシステムを実現できることにあります。社外の人たちにシステムを開発してもらうこともできますが、現場目線での使えるシステムを実現するには、やはりものづくりのノウハウが無ければ成しえません。現場の声を聞き、結果をすぐにフィードバックさせる、このPDCAの繰り返しをスピード感を持って実現できることは自社開発の強みと言えます。設備データの自動収集まず初めに実施したのが、設備からデータ収集を自動で行い、収集されたデータを改善活動で活用する取り組みでした。従来は、現場でストップウォッチを片手にサイクルタイムを測ったり、測ったデータをExcelに打ち込むなど、改善のためのデータを収集する段階で多くの工数を要していました。現在は、各設備の稼動状況やサイクルタイム、出来高などの改善活動に必要なデータは自動で収集され、分析に利用可能な形で可視化されています。本システムは社内で一から開発し、現在では国内工場で70台以上の設備のデータを、自動で収集しています。生産実績のデジタル化 日報のシステム化を実施し、データ分析による改善活動の促進に繋げました。また、上記の設備から収集したデータと連携させることでより正確な実績を自動で得ることができるようになり、データの一元管理にも繋がりました。従来は、現場の作業者が手書きした生産実績を、翌日に事務員がシステムに入力を行っていました。また、顧客からの受注情報をもとに在庫量の推移を予測したり、不適合品 (不良) のデータの集計を行っていました。これらの工数削減により、月あたり550時間の削減を達成しました。消費電力量管理システムカーボンニュートラル活動では、2030年までにScope 1 & 2のCO2排出量を、2021年対比で42%削減する目標を掲げています。この一環として、社内での電力の消費状況を可視化するためのシステムを開発しました。これまでのカーボンニュートラル活動では、可搬式の測定機を用い、個別の設備の消費電力量などを測定していました。しかしながら、測定された期間における個々の設備の消費電力量は把握できるものの、会社全体を俯瞰して改善ポテンシャルを特定したり、個々の設備の消費電力量に異常がないかモニタリングすることは困難です。当社では、消費電力量のデータを、設備の稼動データと統合し、設備がどのような状態のときにどれだけの電力が消費されているか可視化することで、改善のためのポテンシャルを見える化しています。「デジ活」ビジョン・今後の展望ものづくりの中心は、シリコンバレーでも東京でもありません。日本の製造業が世界に誇る強みも、乗り越えなければならない課題も、すべては「現場」にあります。シグマは、そんな「現場」の課題を解決するため、DXシステム "SWIPE"を中心に、AI・IoT・ロボット技術といったテクノロジーを活用することによる、未来のものづくりを追求します。日本の製造業の強みをデジタルでアップデートすることで、自分たちの子どもや、孫の世代に、ものづくりで元気な日本をバトンタッチしたいと考えています。(最終更新日: 2025年2月7日)